霹靂の市場展開
大霹靂から多媒體へ
1992年に「大霹靂節目綠製有限公司」という会社を設立。1995年に有線チャンネルを買収し「霹靂衛星電視台」と改名してテレビ放映に自ら進出。2000年には「霹靂國際多媒體」と改名。製作部門、霹靂衛視(放映)部門、海外部門、周辺商品部門(巨邦國際行銷公司)、ウェブサイト経営部門(創世者網路公司)などを抱える一大組織へと変貌した。1995年に霹靂會会員向けの霹靂月刊が発行され、1996年には霹靂の公式ウェブサイト「霹靂布袋戲網站」が成立(2000年に「E-PILI」と改名)。
1996年9月には主役木偶の公式後援会や、その他非公式後援会も数多く設立された。その結果、霹靂は視聴者の好き嫌いを敏感に察知してストーリーの内容もそれに応じて柔軟に変更する手法がとられるようになる。
周辺商品はグッズからコンピューターゲームまで多種多様を極め、様々な企業がその広告に霹靂キャラクターを起用するなど、その市場が広がっていった。
写真1 霹靂商品展示(パソコンゲームや書籍など)
高雄市立歴史博物館『掌中乾坤-高雄布袋戲春秋特別展』にて。(一部は史艶文の資料)
霹靂、世界へ…?
2000年1月、台湾で映画「聖石傳說」が公開、霹靂は世界市場を狙って小さなテレビ画面から銀幕へ進出した。3年の歳月を費やし、3億台湾ドル(10億円近い?!)を投入、広告費も1億以上使ったそうだ。映画音楽は伍百&チャイナブルーが担当。宣伝の効果と霹靂人気の相乗効果で、台湾では大成功を収めた歴史に残る映画となった。ただし、海外で上映されたものは日本版を経由して字幕がつけられたようだ。日本語台詞に各国語の字幕が付いている。その理由は推測できるが公開情報ではないので割愛する。余談だが、国語吹き替え版も出されが効果が低いので一日で取り消しとなったらしい。2001年上海で放映された時は国語版だった模様。
霹靂、日本進出す
日本では映画公開前にオリジナルのラジオドラマ「聖石傳説異聞 霹靂双星伝」が製作され、霹靂の本体シリーズの一部「霹靂圖騰 第9集~第11集」が日本語化されたり、その他関連イベント等も開催され、当時の状況をみると名の知れた会社が協賛メーカーとなり様々な宣伝活動を行ったようである。
2000年10月に日本でも東京国際ファンタスティック映画祭で「聖石傳説」が初上映。実はこれが幻の日本語字幕版。デジタルプロジェクタでの120分放映で、映画公開版とは違う版となっており、残念ながらこの上映会以後、この版を視聴することはできない。
2002年02月26日には映画『聖石傳説』のJapanプレミアが開催され、監督・脚本の黄強華と製作・台詞の黄文擇両氏、映画音楽の作詞作曲担当の伍佰(ウーバイ)が来日したとのこと。そして2002年03月、いよいよ日本で一般公開が始まった。この時期、テレビでの特番や舞台挨拶つきの上映などのイベントも開催された模様。
2003年07月にはケーブルテレビ「チャンネルNECO」でテレビ初登場。日本語版の映画「聖石傳説」とテレビ版「聖石傳説 英雄伝(霹靂圖騰の途中の3集)」が放映された。
2006年11月23日と12月15日には現代人形劇センター主催で「シリーズ アジアの人形芝居 part12 伝説から生まれた新しい映像世界」というイベントが開催、ここで日本語字幕版が放映され、トークショウも開催された。
2006年11月23日と12月15日には現代人形劇センター主催で「シリーズ アジアの人形芝居 part12 伝説から生まれた新しい映像世界」というイベントが開催、ここで日本語字幕版が放映され、トークショウも開催された。
日本公開前後の状況や各イベントなどは東瀛幻境の過去情報に詳しいのでそちらを参考方。残念なことに掲載されているリンク先は殆どがアクセス不能になってしまった…時間の経過で仕方ないのかもしれないがかなり残念である。
総じて見ると、霹靂の日本進出はそれなりの成果があったように思う。斯くいう楼主自身も「新文芸坐」のオールナイト以降泥沼に嵌った一人だったりするのだが…(笑)霹靂はコミック? ちょっとだけドイツ進出
2004年10月6日~10日の期間、ドイツのフランクフルトで開催されたブックフェア2004 (Der Frankfurter Buchmesse 2004)で台湾も出展している。この時の台湾としての中心テーマの一つは「コミック」。そこで聖石傳説(ドイツ語タイトルは „Die Legende vom heiligen Stein“)の放映があった模様。なぜかコミック関係として聖石傳説の紹介がされたようだ。更に霹靂コスプレもあったらしい。詳しくは中華民國駐外單位聯合網站参照(←ドイツ語です)。
このサイトの内容を霹靂に絞って超簡単紹介すると、 “17の台湾出版社が合同で2つのブースで展示。中国語圏における台湾の出版業界での重要性を強調する。二つ目の重要な目的は台湾コミックの紹介だ。映画聖石傳説の放映と霹靂コスプレも行われた。”というもの。
確かに「聖石傳説」の漫画版もあったので、コミック主体の一環でもそれほどおかしいことは無いかとも思うが…
気になるドイツでの評判のほうは…生憎情報入手が出来なかった。
写真3 聖石傳説 布袋戲電影彩色漫書
映画のコミックバージョン。未完。
残念無念の惨敗アメリカ進出
2006年10月、米国アニメ専用チャンネルのカートゥーン・ネットワーク(Cartoon Network)Toonamiでテレビ放映開始。タイトルは「Wulin Warriors: Legend of the seven stars (武林戦士達:七星伝説)」これは『霹靂英雄榜之爭王記』を大幅カットして完全再編集(切り貼りで作った全く別物!)を行い英語吹き替えにしたバージョン。すぐに打ち切りになってしまったので今では幻の作品である。全13集の予定でたったの2話放映後にキャンセルされた霹靂トンデモ版。全体がヒップホップ(ラップ)音楽、本来は口のきけない葉小釵がイヤになるほど軽率な若造で軽口ばかり、素還真は爺さん呼ばわり…その他のキャラクターも言わずもがな。ざっと全シリーズを見たところ、個人的には打ち切りで良かったと思うくらいの作りである。ご当地アメリカでもその意見の殆どが「評価しない」というものばかりだった。これは絶対にお勧めできない作品。当然台湾御本家でも評判は最悪。文擇氏自身が受け入れがたいと語るほどのハチャメチャ版。 詳細はWikipediaのWulin Warriors項目(英語)または Toonami Fan - Wulin Warriors(英語)参照。このToonami Fan のサイトではプロモ用のYouTube映像が見られる。何時まで残っているかは不明なので、怖いもの見たさの興味のある方は今すぐGO!- "The Saga Begins"
- "The Healer"
- "Rainbow"
- "CryBaby"
- "The Return of Oriel"
- "Bright Road"
- "Four Point"
- "Willow"
- "The Fever"
- "Orb of Battle
- "Approach of the Seer"
- "Mo Kui the Merciless"
- "The Truth About the Healer"
- "The New Star"
海外、行き着く先はやはり大陸…
近年霹靂は進出の矛先を大陸に向けることにした。もともと大陸にもファンが数多く存在していることもあり、文化の違いすぎる海外・英語圏よりもハードルが低い。霹靂は大陸向けサイト「大霹雳动漫网站」(北京)の運営を開始。そのほか商品販売のために大陸専門の通販ページ「霹靂大陸館」を作り、大陸限定のオリジナル商品も出し始めた。消費者規模でいけば台湾より大陸のほうが断然多いが、地元軽視にならないよう、又、大陸のウェブサイト名と同じ『大霹靂アニメ』と成り果てないようにしてほしいものである。
台湾布袋戲の進化の過程である「金剛化」の行き着く先が「木偶アニメ」だとは思いたくない今日この頃(苦笑) 果たして何時まで「霹靂“布袋戲”」の名称を使うに値するか関心のあるところ。
大陸での拡販で最大の障害となるのはやはり言語だろう。台湾語ではその正式な商機が非常に少なくなることから、霹靂はなんと大陸で国語(普通語)台詞の霹靂を推進。漢字で見たり聞いたりする台詞がいったん英語に翻訳されると、あまりのアホらしさ(←失礼)にガックリすることがあるが、少なくとも同じ文化圏であるのでその心配はいらない…が、大陸ファンにとっても意見は二分されているらしい。日本のアニメや海外の映画のように原語で感受できる雰囲気が失われる。日本でも映画等、吹き替え版と字幕版が共存する理由を考えれば分かりやすい。中国語(普通語)では、一人の口白師ではなくアニメのようにキャラクターごとに吹き替えされている。楼主的にはやはり馴染めない(又、日本の声優の優秀さがはっきり分かったりする)