霹靂布袋戲
霹靂布袋戲とは
黃文擇(台詞担当・八音才子と呼ばれる)と黃強華(編劇担当・十車書と呼ばれる)兄弟が成功させた娯楽路線の新時代布袋戲、それが霹靂(Pili、ピリ)シリーズである。この『霹靂』は既に20年以上続いていて現在50シリーズ以上、軽く千話を超え、2014年現在もなお制作され続けている超級長寿番組(霹靂シリーズ一覧参照)。武侠モノをメインディッシュに、ファンタジーの付け合せとSFの濃い隠し味、も一つついでにホラーとスプラッター(笑)もオマケで付けちゃえ!と言ったところが全シリーズ共通の雰囲気だ。 誰しも思う“所詮人形”…この言葉が良い意味で覆される作品である。さりげない動きで感情まで表現でき、木偶が武功や魔法を繰り出し剣を使う。さすがに20年以上前から続くだけあり、昔の木偶は見た目では今ひとつであるが、操偶師の技量の高さで木偶が生かされていることが分かる。さすがに現在では木偶自体が進化し、3頭身が9頭身近くになり、造型も美形キャラのオンパレード。特撮技術の進歩と共に映像効果も更に派手になってきてその娯楽性を高めている。
ドラマ中の会話は、台湾語に文擇氏独自の味わいを加味(多分日常で使ったら理解してもらえないだろう…とのこと)した独特の言葉で繰り広げられる。台湾語が分からない台湾人の為に北京語繁体字の字幕が付いているので日本人にとっても理解の手助けになる。(他の布袋戲も同様で台湾語台詞に国語字幕)
写真1 霹靂のジオラマ展示
高雄市立歴史博物館『2004年 掌中乾坤-高雄布袋戲春秋特別展』にて。一人霹靂のキャラではない木偶(中心)が混ざっているのがお茶目?。
演出や特殊効果、撮影方法などが従来の伝統布袋戲とかけ離れている霹靂布袋戲であるが、布袋戲の特色である『一人口白、雙手撐偶、木頭雕刻』(台詞は一人、両手操偶、頭は木製彫刻)は未だ継承している。木偶の動きの複雑化、武器や装飾の派手化といった重量の増加などにより二人で操偶やCGで作成などが行われ、「両手操偶」と言い切ることが出来なくなってきてはいるが、まだ基本的には布袋戲と呼ぶに値する。
特に一人による台詞、すなわち八音才子・黃文擇による台詞は霹靂にとって不可欠なもので、誰かが代替することは困難なほどファンにその声が浸透している。実際の撮影は文擇氏が先に台詞を全て録音し、それに合わせて劇を作りこむという手段がとられているので、まさに言葉ならぬ『初めに“台詞”ありき』なのだ。これまで20年以上、千話以上のストーリーの全ての台詞を文擇氏ただ一人が担当してきことは驚きに値する。
写真2 霹靂奇幻武俠世界-布袋戲藝術大展
2013年台北の華山で開催された展示会の展示物。三世代の黃家の面々。
特に一人による台詞、すなわち八音才子・黃文擇による台詞は霹靂にとって不可欠なもので、誰かが代替することは困難なほどファンにその声が浸透している。実際の撮影は文擇氏が先に台詞を全て録音し、それに合わせて劇を作りこむという手段がとられているので、まさに言葉ならぬ『初めに“台詞”ありき』なのだ。これまで20年以上、千話以上のストーリーの全ての台詞を文擇氏ただ一人が担当してきことは驚きに値する。
写真2 霹靂奇幻武俠世界-布袋戲藝術大展
2013年台北の華山で開催された展示会の展示物。三世代の黃家の面々。
金光からの過渡期
もともと『霹靂布袋戲』は『金光布袋戲』すなわち“史艷文シリーズ”から発展してきた布袋戲である。黃文擇による編集で『霹靂』の名称が付けられてテレビ放映されたシリーズには以下がある。- 『七彩霹靂門 28集(1985/02/14)』(中視)
- 『霹靂真象 31集(1984/08)』(中視)
- 『霹靂震靈霄 31集(1984/08)』(中視)
- 『霹靂神兵(1984)』(中視)
- 『霹靂金榜 28集(1985/02/14)』(中視)
- 『霹靂真象 31集(1985/09/01)』(中視)
- 『霹靂萬象 28集(1986/02)』(中視)
- 『霹靂天網 11集(1986/08)』(中視)
- 『霹靂俠縱 30集(1986/11)』(中視)
- 『霹靂城 8集(1985/07-10)』
- 『霹靂神兵 8集(1985/10-1986/01)』
- 『霹靂金榜 8集(1986/01-04)』
- 『霹靂震九霄 8集(1986/04-07)』
- 『霹靂戰將 8集(1986/07-10)』
写真3 雲州大儒俠 史艷文
写真4 初登場時の素還真
「霹靂金光 第13集」で初登場の清香白 蓮素還真。空飛ぶ蓮の花に乗って登場(←本当です)
尚、『霹靂』シリーズは「清香白蓮素還真」が登場する『霹靂金光』から始まるとされれるのが一般的である。