三昧堂
はじめに
大きく分けると台湾の布袋戲は「伝統版」と「現代(電視)版」の二路線があり、現代版の覇者は「霹靂」で、「金光」が追随する。現代版は1970年代から既に40年の歳月を経ており、台湾の人々が幼い頃から慣れ親しんできた布袋戲だ。木偶を見かければ「史艶文」、「素還真」と呼び掛けられるほどそのキャラクター共々一般に浸透している。
これらのことから「霹靂」や「金光」が『布袋戲』を広める大きな原動力であることに疑問をさしはさむ余地は無いと思う。しかしながら、両者共に営利団体であることは否めない。彼らの布袋戲の普及は営利目的と合致するわけだ。(特に霹靂多媒体は近年その傾向が顕著なように思われ聊か残念。)
一方、これから紹介する『三昧堂』は、布袋戲好きの個人が集い自ら布袋戲文化の伝播活動に乗り出した団体だ。利益とは無縁の活動であることは特筆に値する。
一方、これから紹介する『三昧堂』は、布袋戲好きの個人が集い自ら布袋戲文化の伝播活動に乗り出した団体だ。利益とは無縁の活動であることは特筆に値する。
三昧堂紹介
『三昧堂創意木偶團隊』は「霹靂布袋戲」や「金光布袋戲」とは全く違った方向性で独創的な活動を展開している嘉義市に本拠を置く団体。 いろいろな職業のメンバーが「木偶好き」という共通項目で集い、趣味が高じて自分たちで木偶の設計・造形・衣装制作・武器や小道具製作、はては命名やキャラクター設定等、すべて自分たちで行うようになった。さらには木偶展示会・イベントなどでの布袋戲上演(操偶、台詞)さえこなしてしまうといった徹底ぶり。ごく普通(?)のファンだった彼らが各々の専門を生かしつつお互いに活動に貢献しあって作り上げた団体、それが『三昧堂』である。商業的布袋戲の場合、キャラクターの著作権に異常なほどのこだわりを持ち、霹靂では本尊は一切の撮影禁止などというケースがあるが、彼らの創作した木偶は撮影自由。実際に木偶を手に取り、操偶できる場も設けるといったファンにとっては嬉しい方針を掲げている。台湾人でも実際に木偶を触ったことは無いという人もいて、こういった活動は大変貴重なものだ。 彼らの地道な活動は、近年さまざまなイベントで広く知れ渡りつつあり、木偶という芸術作品の宣伝と布袋戲の伝播に大きく貢献している。
※ 霹靂や金光等のキャラクター木偶で無いものは、自創木偶と呼ぶ。当然三昧堂の木偶は自創木偶。
写真1 藍關擁雪(三昧堂の自創木偶)
三昧堂構成メンバー
2016年末現在は、以下の8人の木偶好き・収蔵家で構成されている。当初からは何人かのメンバーが交代しているが、さまざまな職種の木偶好きの集まりという一点には揺ぎ無い。- 造型設計:劉國安(小安)
- 工場勤めだそうです。
- 偶衣設計製作:陳有豐(阿維)
- 木偶の衣装設計・製作が本職。小さな仕事場(失礼!)で素敵な衣装を創出している。霹靂の衣装もたくさん製作しちる。趣味と仕事が一致した理想のケース。
- 木偶造型と操偶・演出:王文志(多多)
- テレビ局の音響スタッフ。木偶はやはり動いてナンボ!
- 台詞と編劇:涂建軒
- 学習塾勤務。子供たちがたくさん学んでいる建物の中に木偶がたくさん置いてありました。
- 企画・サービスとキャラ設定・命名:嚴仁鴻(小金老師)
- 大学助教授。(聞くところによると大学を辞めて三昧堂の活動に専念したとか?)彼の収蔵している木偶はどれもみな質が高くて素晴らしい♪特に昔の木偶は現在入手困難なので貴重。
- 木偶造型:洪志偉
- デザイナー
- 映像合成:吳杰睿
- ヘアデザイナー
- 映像合成:孫漢強
- 保険会社勤務
四方山話
楼主は幸運にもいくつかの彼らの活動拠点を訪問する機会に恵まれた。塾のビルの一室や、仕事場の片隅でしっかり活動の維持をしている。 又、直接三昧堂に関係しないが、小金老師宅の木偶部屋は圧巻だ(彼も素還真ファン!)。一部屋の壁面見渡す限り木偶木偶木偶♪ 二百体近くいるらしい。しかも古い時代の素還真をほぼ全て網羅したコレクションは素還真ファンの楼主にとって垂涎もの。眼福眼福♪ 小金老師とは彼が三昧堂を組織する前に天空部落でやりとりをしていたのだが、この時が初対面♪。しかも素還真だらけという嬉しいオマケつきで(笑)写真2 小金老師宅の木偶達(一部)